LPガスとは
LPガスとは[Liquefied Petroleum Gas]つまり液化石油ガスの略称で一般的に頭文字をとってLPガスと呼ばれています。
LPガスは炭素と水素の化合物で炭素数3のプロパンC3H8と炭素数4のブタンC4H10と2種類がありますが一般家庭でつかわれているのはプロパンでプロパンガスとも呼ばれています。
また、LPガスは容積が小さい液体の状態で貯蔵配送され使用時には気体で消費されます。たとえばプロパン10kgが気化すると約4.82m3となります。(数値は地域・気温により若干異なります。)
なお、気体のLPガスを液化するにはプロパンの場合常圧で-42℃(プタンの場合-2℃)に冷やすか常温で0.8~0.9Mpa(8~9kg/cm2)ブタンの場合0.2~0.3Mpa(2~3kg/cm2)の圧力を加えます。
使用上の留意点
LPガスが液体から気体になると体積は約250倍に増加します。
またガス漏れすると空気より重いため床面などの低いところに滞留します。そのためLPガス漏れ警報器は部屋の低いところに設置します。
どこからくるの
LPガスは天然ガス田や油田から産出されるとともに原油を精製する過程でも出ます。
その比率はおよそ3分の1ずつとなっています。日本のLPガスは約4分の3を海外から輸入し残りは国内に輸入された原油を精製する際に生産されています。
その輸入先はサウジアラビアが全体の約3割、中東全体で約8割をしめていることから供給基盤が脆弱になっています。
一方LPガスは天然開発に伴う生産の増加、中東以外の供給多様化が期待されています。
LPガスと都市ガスの比較
都市ガスには地域によってさまざまな種類のガスがあり、同一の消費設備や器具が使用できない場合がありますので、転居などの際には注意が必要ですが、家庭用LPガスは、日本全国いずれの地域においても同じ消費設備や器具を使用することが出来ます。
なお、発熱量・比重は次のとおりです。発熱量プロパン99.096MJ/m3、23,673kcal/m3比重(空気1に対して)1.55。
都市ガスは発熱量45.047MJ/m3、11.000kcal/m3比重(空気1に対して)0.56。
地球環境にやさしいエネルギー
LPガスは化石を主な原料とするエネルギーの中でもっともクリーンなエネルギーです。
地球温暖化を抑制
LPガスは石炭を100%とした場合、CO2排出量はその68%程の排出量となり(石油は76%)、他の化石燃料と比較すると燃焼時のCO2排出量が少ないエネルギーです。採掘から製造、消費までのすべての過程を通してもCO2排出量が少なく、地球温暖化防止に大きく貢献することができます。 また、オゾン層破壊の原因となるフロンを排出しないLPガスは、オゾン層破壊が社会問題化した1980年代後半よりフロンガスの代替燃料として認められ、今日では広く用いられています。
有害物質をほとんど排出しない
ガソリンやディーゼル等、自動車燃料の排ガスには窒素酸化物(NOx)、浮遊性粒子物質(SPM)、ディーゼル排気微粒子(DEP)といった人体への悪影響が認められている有害な物質が含まれていますが、LPガスはDEPはもちろん、SPMを排出することがなく、また、NOxの排出量も天然ガスと並んで少ないため、自動車への利用も進んでいます。ディーゼルエンジンに比べエンジン音が静かなこともあり、タクシーに多く利用されているほか、ディーゼル車に代わる自動車として宅配用トラックや自治体の塵芥車等への普及が高まっています。 なお、ご家庭のLPガスは漏れると異臭が発生しますが、これは万一漏れたときに危険を察知できるよう出荷段階で添加している成分(メルカブタン等)の臭いで、LPガスそのものは無色・無臭です。
これらの効果が認められ、平成19年3月に改訂された政府の「エネルギー基本計画」の中でも、LPガスは天然ガスと並んで「クリーンなガス体エネルギー」と位置づけられ、LPガス利用の推進が長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策として位置づけられました。記憶の新しいところでは、2008年の洞爺湖サミットでも会場となったホテルでも全面的にLPガスが導入され、環境問題への対応で国内外から高い評価を受けています。
燃焼効率がよく、省エネに貢献
LPガスは都市ガスに比べ、体積あたりの総発熱量が都市ガスの約2.2倍と非常に燃焼効率がよく、ハイパワーで高品質なエネルギーです。また、都市ガスのような大規模なインフラを必要としないため、コスト面も含め、非常に効率的なエネルギーといえます。 近年ではエコジョーズ(潜熱回収型給湯器)やエコウィル(家庭用ガスエンジン式コジェネレーション)といった省エネ技術を駆使したガス製品が次々と開発され、これらの製品と一緒に使用することで、さらに省エネを促進することができます。
災害に強いLPガス
気体の約250分の1に縮小したLPガスは他のエネルギーに比べ非常に小さな容量で大きなエネルギーを運べるという特徴があり、家庭をはじめさまざまな場所で利用が可能な他、災害時の非常用エネルギーとして重要な位置づけをされています。
分散型エネルギー
都市ガスと異なり、1戸単位で個別にガス管を配置・供給する形態は「分散型」エネルギーと呼ばれ、災害復旧が都市ガスに比べて非常に早いことが知られています。
都市ガスの場合
- 1つの配管から数百~数千戸単位でエネルギーを供給しているため、配給元の設備が被害を受けると、その配給先すべてに影響が及ぶ。
- 世帯全体の安全確認が必要となるため、復旧まで時間がかかる。
LPガスの場合
- 配管自体が短いため、異常の発見や修復作業が容易。
- 個別に安全を確認し、復旧させることが可能なため、地域全体の復旧には時間がかからない。
安心・安全なLPガス
戦後まもなく家庭用エネルギーとして導入されたLPガスは、導入以来、自主保安運動や安全なガス機器の開発・普及など、長年にわたって総合的に安全な供給システムを構築したことで、現在2,600万世帯にまで普及が広がっています。
事故発生率が低いLPガス
LPガス事故の発生率はピークの1979年(昭和54年)には年間793件発生していますが、官民一体となった取り組みの結果、平成6年にはその10分の1まで減少し、現在に至っています。また、LPガスの事故発生率は10万件あたり0.92件(平成19年実績)と非常に低い発生率となっています。
さらなる安心・安全のために
家庭用ガスコンロの全口に「調理油過熱防止装置」「立ち消え安全装置」「コンロ・グリル消し忘れ消火機能」の設置が平成20年8月の国の規制改正において義務付けられたことを受けて、これらの機能を満たした新しいガスコンロ「Siセンサーコンロ」が次々と登場し、家庭内での事故防止、安全対策がさらに進んでいます。 また、近年石油FF式温風暖房機やガス湯沸器等のガス機器において、長期間の使用による劣化が主な原因での事故が発生しました。こうした重大事故の発生を未然に防ぐ目的で「長期使用製品安全点検制度」を新たにスタートさせ、官民一体でより安全かつ安心してガス機器をお使いいただけるよう努めています。
参考:日本LPガス団体協議会「LPガス読本」
LPガスの商慣行見直しに向けた取組宣言について
適正な取引に関する取組宣言の内容は、こちらをご確認ください。